札幌焼盤渓窯とは

札幌焼盤渓窯の名前の由来、2種類の制作方法についてご紹介します。

名前の由来と
周辺環境

名前の由来

阿妻一直が陶芸家として独立してから5年後の1986(昭和61)年に札幌焼の復活者である故 桶井辰雄氏夫人より幻となった『札幌焼』の名の使用承諾を頂き後継者として今日に至ります。

一方「〇〇窯」という窯名には、築窯した場所の地名や自分の名前、また思い入れのある言葉やその他独自の発想による言葉などを自由に名づけることが多く、陶芸家として独立して築窯した「八軒窯」と1997(平成9)年に移転して築窯した「盤渓窯」は、共に札幌の地名からそれぞれ取って名付けました。

周辺環境

札幌焼盤渓窯は、札幌の中心部から車でわずか20分程という近距離にありながら、四季折々の景色と澄んだ空気に恵まれた札幌の奥座敷です。春から秋にかけては自然散策、冬はスキーと、一年を通してファミリーや仲間でレジャーを満喫できる都会のオアシスです。

窯の種類

札幌焼は、窯元である盤渓窯(札幌市中央区盤渓)に半地上式の穴窯とガス窯、上絵・急ぎ用の小型電気窯の計3基の窯をそれぞれ使い分けております。穴窯は「窖窯(あながま)」、燃料に薪(まき)を使用することから「薪窯」とも呼ばれます。

穴窯

穴窯は全長が約10メートルもある耐熱煉瓦を積み上げて作られた非常に大きな窯で、一度に粘土500kg分もの作品を焼くことができます。自然釉の作品を7~10日間かけて焼き上げます。

ガス窯

おおよそ1立方メートルのガス窯は1,250~1,300度もの高温の燃焼に耐えられる重厚な炉厚が特徴で施釉の作品を約30時間かけて焼き上げます。ガス窯では志野釉(しのゆう)と呼ばれる作品への取組みも試行中で、おおよそ3日間で焼き上げております。

二つの制作方法

札幌焼盤渓窯で生まれた作品はその制作手法により 「施釉(セユウ)作品」と「自然釉(シゼンユウ)作品」の2タイプに分かれます。

施釉(せゆう)による作品

施釉とは素焼きが終わった製品に釉薬(ユウヤク、ウワグスリ) をかけることです。釉薬の主な原料は、天然の「稲藁灰」「木の灰」「土石類」等で、それら原料の組換えや調合の割合により、「碧海波釉(セイカイハユウ)の青」「白萩釉(シラハギユウ)の白」「鉄釉(テツユウ)の茶・赤・黒」などの色彩が生まれます。施釉作品はガス窯および電気窯で焼成(ショウセイ)に12時間から24時間以上かかります。焼成とは原料を窯に入れて高温で焼くことにより性質を変化させることです。

自然釉(しぜんゆう)による作品

自然釉とは、作品を施釉せず無釉の状態で穴窯に詰め、窯の中で燃料である薪の灰が自然にかかって付着したものが高温によって溶け、施釉状になった状態のことを指します。自然釉は人の手で施釉することなく7~10日間にも及ぶ焼成のみによって生み出されます。自然釉の作品作りに使われる薪を燃料とする穴窯は、全ての工程において自分自身が積み重ねた経験と勘のみが頼りで、また長期間窯から目を離せないという苦労が伴います。

しかし、制作者本人でさえ予測できない自然が生み出した造形美に出会う瞬間は、そんな苦労も吹き飛ぶほどの醍醐味と感動があります。自然釉では自分自身の有り方が素直に現われる窯なので、その様な作品を作りたい時に使用しています。自然釉による作陶手法を「焼締め(ヤキシメ)」といいます。

実際の作品は、ぜひギャラリーで手に取ってご覧ください。

ギャラリー